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2014/03/11

デジタルちゃいろ[43]原住民と黒船三度

この記事はメールマガジン「日刊デジタルクリエイターズ」に書き下ろしたした記事「デジタルちゃいろ[43]原住民と黒船三度」の元原稿です。加筆は一切してませんが、掲載時点で古くなってしまったリンクやそれに纏わる文言のみ一部削除している可能性があります。

雛祭りの日にmixiからリリースされたmuuk、ワタシ結局未だに試してないんです。試してないのに話題にするとかどうなのって感じでしょうか。まぁ、使用感について云々したいのではないので許して下さい。

どんなサービスかっていうと、時限式の写真共有アプリ、とでもいいましょうか。送った写真を相手が見れるのは3秒だけ。で、二度と見ることも叶わず、保存することもキャプチャすることも出来ずに消えてしまう。

そうそう、ある意味、まさにこういうことですね!(えっ)

ワタシの立ち寄り先であるSNS各所ではどちらかというと「旧来の」ネットに親しんでる層が多くて、アーリーアダプターな層も多い方だと思うんですが、muukのコンセプト自体、そういう層には親しみづらい感じがあるようですね。

アーリーアダプターなので、早々に試してはみたものの、早々に砕け散ってる方をよく目にしました。というか、メニューの文言や、ナビゲーションのヒントに使われている言葉のひとつひとつに、生理的に苦手そうな反応をしている人が多い印象。

この刹那系写真共有系サービス、国産では恐らくこのmuukが初かもしれませんが、米国を中心とした異国のワカモノの間では、2011年にリリースされたsnapchatが大人気。本家や元祖や草分けかどうかは存じませんが、世界的にはこちらが今も尚、コレ系サービスの王道。

その後、2012年にfacebookが同系のアプリをリリースしましたが、snapchatを凌駕するには至れず。しかしFBはかなりこの市場に魅力を感じていたようで、去年の暮れに現金30億も積んだものの、snapchatは既にそれを華麗に蹴っ飛ばすまでに成長して今に至る、という感じです。

そんなこんなで、FBが30億出そうとする程には魅力的な市場でもあり、可能性もあるんでしょうからmixiさん、日本での市場は未知数ながら、意外に面白い目の付けどころなのかもしれません。

そんなmixiをパクりサービスのオンパレードとか、オリジナリティがなさ過ぎるとか、恥ずかしくないのか、とか怒ってる人も見かけました。以前のワタシなら同調したかもしれませんが、最近ではそういう声を目や耳にすると、この人はここがどこだか忘れてるのではないかしら、なんて思うコトがあります。

ここはどこでもない、スポイルされきったガラパゴスな日本なんですよ。新しい商機の可能性を孕む異国で出来た舶来のサービスは、誰かが輸入して、ローカライズして、より日本人の好む形にブラッシュアップしないと誰もオリジナルのままでなんて使わないんですよ。

で、旧来の、リテラシーが高くて、新しいものに常にアンテナ巡らして、海外の動向を見つめてるアーリーアダプターなんて、もはや全体に影響力を持つ存在ではなく、一握りのコミュニティの中でのお山の大将でしかないんですよ。mixiはとっくにそんな小さなマーケットなんて相手にしちゃいないんです。

実は以前からこのデジクリ上でも、「黒船!」「黒船!」と騒いでる記事を書いたことがある。

ワタシの言う《黒船》とは、旧来からこの《インタネット島》で暮らす《原住民(=旧来のネットユーザー)》ではない、新世代ネットユーザー、のような人たちを運んできた船、という意味合い。黒船で上陸して来た新世代ネットユーザーとは、どちらかというとモバイルがインタネットへのメインゲートウェイで、ネットをネットと意識すらせずに使う層。

あぁ、そういう人が加速度的に、《おらが島》にやってきてる足音がするねぇ、ほらどんどん足音がデカくなってきたねぇ、というハナシをこれまで何度か書いてたのだ。

黒船でやってきた人たちは、原住民からしたらリテラシーも低いし、自分たちだけでは何も出来ないだろう、くらいに思ってたのに、気づけば原住民たちを介在せずに独自の歴史や文化を生み出してる。

おらが島の広めの一角に、既にしっかりとした居留地を構えてて、そこは原住民たちには住み心地がよいとは感じられなくて、あまり寄りつかないのだけど、彼らにとっては文明を着々と発展させる程には暮らしやすいようだ。

そんな土地が、きっと、在りし日のmixi、そして現在進行形ではLINEあたりなんじゃないかな、と思います。

最近聞いた話で象徴的だったのが、頑なにLINEを使わずにいる友人(原住民)と彼女の田舎の仲間のハナシ。

正月に地方の実家に帰省して同級生と集ってみたら、いつの間にやら皆、ガラケーからスマホになっており、原住民の友人以外の全員がLINEで繋がってたんだそうな。

LINE使ってないの?なんで?繋がろうよ!フルフルしようよ!と言われたものの、仲間内で一番ネットに詳しいと思われていた筈の自分がLINEの使い方すらよくわからない、というシチュエーションが悔しかったので、その場でもインストールしなかった、と言うのだ。

そう、本当に、原住民抜きで文化も歴史ももう出来てるんですよ。しかもその文化圏では、黒船リテラシーも出来上がってて、下手をすると、原住民こそリテラシーがない、とされてしまいかねない程に逆転現象も起きつつあるのです。

個人的に未だにどちらとも言いきれない領域なのが、アメーバピグ方面のユーザー層。

ピグに限らず密かに乱立はしてますが、リテラシーは高くないけど、とはいえ、どちらかというと仮想の自分とも言えるアバターベースのコミュニティにいる人たちは、mixiやLINEに比べると若干、リアルな繋がりベースでのコミュニケートをしている種族ではない気がする。

ピグ界には一時期、敢えて潜入してみてたんだけど、実際半々なのかなぁ。リア友とお誘い合わせの上遊んでる子達もいなくはない。でも、そうじゃない人間関係築いてる層も相当数いる感じだった。はじめて見かけたピグにカジュアルに話しかけて友達申請や、ナンパをしてくる人も多い。

やっぱりアバター系は別途、独特な文化を持ってるのか。「ユーザー層」っての自体、もはや一概には言えない感じなのかな。ハナシが逸れそうなのでそちら側種族深掘りは一旦止めておこう。

そう、そんな感じでですね、一昔前のインタネット島の流行り物っていうのは、原住民のアーリーアダプターによるレビューを経てから世間的にポピュラーになってくのが常だったのです。

でも、今や、原住民の未踏の地にもあちこちに立派なマーケットは出来上がってて、mixiはソコに向けてmuukをリリースしたんだと思うんですよ。原住民なんか相手にしてないんです。

個人的にはそこであるコトに気づいて、いよいよ面白いな、と思ってるコトがある。

ワタシの脳内黒船ストーリーは、いつかどちらかがどちらかを支配しようとするのではないか、という悲観的な物語を想定してたんですよね。

ところが、今のところ、実際は意外と平和的に棲み分けはされていて、時折、曖昧な国境付近で、文化的摩擦として火炎瓶の投げ合いが起きて炎上してる程度に見える。これはちょっと面白い発見かもしれない。

ああでも、黒船で新大陸にやってきた人たちは、原住民との間にある潜在的利害関係や、原住民の存在そのものにすら今はまだ気づいてないだけかもしれない。

まだまだ接近遭遇ははじまったばかりだ。この二種族の接触と力関係の変遷は、これからも長いこと興味深く見ていきたいと思ってる。いち原住民として。

どこかの国の音楽

きっかけは何だったのか謎ですが、実は去年から印度映画界では日本ロケが大流行してるんです。

春先は富山・北海道でテルグ映画、10月後半はヒンディ映画(ボリウッド)が都心部、タミル映画が京都・鳥取、そして12月はテルグ映画2本目が関東・関西ロケ。

それを受けてロケ地になった地方自治体では、その後のロケ地巡りにやってくるかも知れない印度人観光客目当ての町おこしにまで期待してたりしてなかったりしてるようです。

秋の、1週ズレ程度でのヒンディ~タミルロケ祭りは印度映画ファンはそりゃもう大騒ぎでした。そんな最もアツかった2つの映画の、まさに日本ロケでの音楽シーン動画が公開されてるので、ちょっと印度映画ロケ地日本祭りをば。

“Tanki” Youngistaan

こちらはヒンディ映画Youngistaan。現地ではこの3月後半公開予定。

ロケ地は主に新宿かな。六本木・渋谷あたりでも撮影スケジュールがあったようななかったような。

ロボットレストランでの撮影のほんの数日前にはSNS上でこの撮影のエキストラ募集が出ていて、ワタシのTwitterのフォロワさんは何人か参戦しており、映り込んでるようで、めでたくボリウッドデビューを遂げるようです(笑)。

印度で今をときめく Mika Singh の歌だし、他で結構好きな振付けを結構やってるコレオグラファーさんが振付け担当なんだけど、正直、個人的には楽曲もダンスも微妙にピンとこないんですけどね、スイマセン。

“Kandaangi Kandaangi” Jilla

こちらはタミル映画Jilla。こちらは現地では既に今年1月から公開中かな。ロケ地は京都各所と何故か鳥取の花畑。

俳優さんは現地では、一昔前の日本で言ったら若大将、加山雄三クラスの人気を誇るヴィジャイ。女優さんはテルグ語圏の、ワタシも大好きなカジャルたん。南印映画界の女王とも言われる女優さんで、タミル映画でも引っ張りだこみたいですね。

関東でロケだったら1日くらい仕事ほっぽり出して見に行きたかった…。

こちらは楽曲もダンスも、イマドキ感はないけどスタンダードな印度映画の音楽シーンという感じでいいですね。

ボリウッドのYoungistaanは今の日本の都会を全面に押し出してるけど、タミルのJillaの方はステレオタイプなまでの美しき日本、てな感じで対照的。

今年もロケやら映画祭やらイベントやらで印度映画界の俳優さんが来るの来ないの、なんてハナシがちょこちょこ出てるみたいで、来日祭りはしばらく続く…かも。ワタシが大好きなテルグのNTR Jr.も来ればいいのになー!

後記

先月はインフルエンザB型にやられてた。解せない。発症から潜伏期間に該当する日を遡って考えこんでも、人のそこそこいる場所といったらスーパーに1回行ったくらいしか、外出の記憶がない。それほどまでに筋金入りな引きこもり生活なのもどうかとは思うが、それでもインフルエンザをもらう時はもらうものなのだ、という事実にもびっくりした。

「スーパー行くだけでも伝染るコトって、あるらしいですよ」と、ワタシの引きこもり事情を知らない筈の薬局のおばさんも言ってたので、実際そういうコトだったんだと思う。

寝込むのにいい時期なんて勿論ないのだが、2月は日数が少ない上に、翌月は世間的に決算期・締めの時期の始まりなので、特によくない時期だと痛感。来冬からはきちんとワクチンを打つコトにする。この冬は、配偶者だけはワクチンを打っていたお陰で、ワクチンの効果のほども十二分に試せたので。