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2020/01/11

デコトラ、トラックアート、ツーリストアート、ビジネス in パキスタン

現地で拝む各種トラックアート

現地では束の間だったけど、いいコンディション(?)でガチなトラックアートを拝む機会もあった。

当初は出くわすたびにキャアキャア言ってたけど、ペシャワールなんて、トラックもバスも、なんならあの姿が標準的と言っても過言ではなかったので、いつしかキャアキャア言わなくなった。

空港内のトラックアートを模したデザインのカート?や土産物屋に並ぶトラックアート由来のデザインの小物など、空港のそこここで、トラックアート由来の品々を見かけた。

それらの写真をFBのStoryで上げたと思ったら、たまたまそれを見た、夏のパキスタンフェスで来日以降仲良くしてくれてるトラックアーティスト氏から「あっ、それおれの作品!そっちはウチのチームの誰それの作品!」てメッセージ来て、おぉぉ、ってなった。

現地で本人には会えずじまいだったんだけど、彼の作品には、イスラマのスーパーでも出くわした。トラックアートを施したマグカップがパッケージになったビスケット。少し前に自身のFBで、「直近の仕事」として掲載していた写真そのものが、スーパーの目の前の棚にあったのだ。

言語化出来ないでいた疑問

実は夏のパキスタンフェス以降ずっと、こういったトラックアート派生の、「実際にトラックに施されてない」「デコトラ由来の」「デコトラ職人以外による」グッズ・アートに関しては、うまく言語化出来ぬままモヤっとしたものを持ち、そのモヤっと抽象的なまま、時折色々考えてた。

そんなスッキリしないお題を頭の片隅に持ったまま季節は流れ、すっかり冬になったつい先月、「アフリカンアートを売り込む」といった、若干押し売り商人みたいな攻めのタイトルの(でもめっちゃ内容の素晴らしい)シンポジウムを聞きに行った。

おいら個人はアフリカに関してはコンゴ限定だし、更には、ほぼほぼ音楽中心でしか見ていないので、一般で言うアフリカンアートは興味のストライクゾーンでは全くない。

が、今回、登壇・発表者者が座学な研究者ばかりではなく、営利・非営利で実務としてアフリカンアートを、日本国内で紹介したり販売したりしてきた方も予定されていて、とても具体的な事例や視点が聞けそうだったので。

しかも、アフリカンアートという、いい塩梅に中途半端で乱暴な括りが故に、その他のマイナーなナニカを紹介する際のアプローチ方法のアイデア参考にもなるかな、なんて思ったから。

例えばコンゴという国限定しかり、エリア違いのパキスタンしかり、美術品にとどまらず、音楽文化の紹介しかり、そこから派生する付随文化紹介しかり。自分が能動的に何かを企画する立場ではないながらに。

収穫は期待以上に大きくて、昨年行った多くのイベントの中でも、最も「行ってよかった」度の高いものになった。そして、ここで、夏以来のモヤりの言語化のヒントにも出会うこととなる。

それがツーリストアート(もしくはエアポートアート)なる用語。

ツーリストアート(エアポートアート)とは

曖昧な記憶でまとめとくと、その土地ローカルでは根付いてないのに、土地の土産物として空港なんかで定番土産になるアート、のようなもの。

シンポジウムでの事例としては、ベナンの彫像群だった。その彫像群は何がきっかけだったか忘れたけど、宗主国の白人たちが土産物として好んで買うから、作り手が増えてった、とか。

内部の、自分たちのためのニーズでもなく、自分たちの文化の中での美の追求や価値観由来の発展でもなく、(主に)外界・からのニーズに応えて発展してしまう/させてしまうアートのこと。

で、アート史?界?としては軽んじられがちだし、むしろ疎まれがちな側面もあるらしいんだけど、ベナンの事例だと、ツーリストアートとして定着したその彫像・彫金手法のものが後に、ローカルな祭事の場面でも使われ始めて、ローカルな固有アートにも影響を与えはじめるから、無視したもんでもないのでは、みたいな話だった。

このツーリストアート自体、そんな立ち位置から軽んじられてるが故か、研究はそんなに盛んそうでもないし(ググってもあまり出てこない)、研究する側のフィールドも、アート系の一部としてなのか、文化人類学的に研究するのか、で、見えてくるものもすごく違ってきそうで相当興味深く思ったり。

デコトラ、トラックアート、ツーリストアート、ビジネス

そんな経緯も踏まえて、夏とは異なり、新しい概念を学んだおいらは今回、空港の土産物屋やその他の、パキスタン国内の様々な場面でこういったトラックアート派生の土産物を見てて、「トラックアートも最早、いわゆるツーリストアート」だなぁ、みたいに思った。

トラックアートはそもそも、デコトラという、とても限定的なものから始まっていて、ローカル固有で独特なものとして発達してきたものを、今やそれをトラック職人じゃないアーティストたち(や国も上げて、かな?)が、自国の文化として、ツーリストアート(に限らず国内でも各種アート)として利用しはじめてるシフト期ってのが現状な気がする。

なので、シンポジウムのツーリストアートとは始まりの経緯が若干違うものの、良いとか悪いとかではなく、でも、「デコトラそのものの何か」とは、既にちょっと独り歩きした類似別種のものだよね、と。

実際のデコトラのトラックアートはそれとして、今でも現地にしっかりとあった。どちらかというと、都市部ではなく、工場の多いエリアや地方、そして地方と都市をつなぐ幹線道路で目にする事が多い。

で、それと分化・並行して、都市部や商業的な場所、文化施設、国の玄関口とも言える空港では、トラックアート的アートビジネスらしきものが既に、着実に存在してるように見えた。

上述のニポンで親しくなったトラックアーティストたちも、現地の埃っぽいデコトラ整備工場で砂塵にまみれて実際にトラックに装飾をしている人たちとは別種の人たち。

職人ではなく、アーティストがデコトラモチーフを使ってアート活動や国際交流を実践している、という感じ。自認もあくまで「アーティスト」である。

そして、いわゆる「トラックアート」的なアートを手掛け、時折、国内のメディアでも「トラックアーティスト」としてインタビューを受けたりしているが、トラックアートと全く関係のないペイントも手掛けている。

彼ら経由で、パキスタン国内のその他の「トラックアーティスト」(Not 職人)も見えてくるようになったが、彼らの様に兼業アーティスト(トラック&モダン・アート)な人もいれば、完全に土産物的なツーリストアート専業で国内イベントを渡り歩くアーティスト、更に異なるジャンルのアートとの融合を試みるアーティスト、様々である。

くどいけどもう一度書いておくと、その優劣だとか是非だとか、そういうジャッジには全く興味はない。

これらはここから先、どんな風に発展してくのかなー、と、現在とこれからに興味がある。

後出しジャンケン

最後に後出しみたいに書いておくが、そもそも、トラック以外の、バスやリキシャや、何なら露天の荷台も類似のデコレーションを施すし、それらとは関係なく、宗教施設も各種祭事の場も違ったデザイン文脈でそれぞれ、華美な装飾はしてるんだけど、それはどこまでを同じ括りにしてよいのか、分けて考えたらいいのか、細かく考え始めたらキリがなくなるので、この記事では乱暴にデコトラについてのみ書いてます。

デコトラからデコバス、そしてリキシャや屋台への変遷の歴史は繋がりも深そうだし、並べて見ていきたいトコだけど。